2013年9月26日木曜日

ザック・ワイルド、異色のライヴ・アルバム『アンブラッケンド』を語る


ザック・ワイルド率いるブラック・レーベル・ソサイアティの新作ライヴ・アルバム『アンブラッケンド』が9月11日にリリースとなったが、通常のライヴ・パフォーマンスの枠から解き放たれ、新しいコンセプトで挑む、いわば“ブラック”を超えたところにあるのが“アンブラッケンド”である。

アンブラッケンド / ザック・ワイルド&ブラック・レーベル・ソサイアティ



2013年3月6日にロサンゼルスのクラブ・ノキアで行われた“アンブラッケンド”ライヴでは、メロウな楽曲を主にプレイ、バンド全員が着席して演奏するスタイルだった。とは言えいわゆるアンプラグドではなく、エレクトリックも演奏する異例のスタイルだ。ザックはエレクトリック・ギター、アコースティック・ギター、ピアノを演奏、自らの楽曲に多面的なアプローチを見せる。

「俺はヘヴィな音楽も好きだけど、メロウな曲も好きなんだ。レッド・ツェッペリンでいえば「ブラック・ドッグ」と同じぐらい「カリフォルニア」も好きなんだよ。これまでもブラック・レーベルのアルバムには毎回、メロウな曲が数曲あったし、俺の音楽を知っているファンだったら、きっと楽しめるだろう」──ザック・ワイルド

2週間かけて、みっちりリハーサルしたという“アンブラッケンド”ライヴだが、実際に行われたのはクラブ・ノキアでの1回のみだった。今作は、2,300人の観客のみが目撃することが出来た、貴重なライヴを収めたドキュメントなのだ。

オジー・オズボーン、ブラック・レーベル・ソサイアティ、そしてプライド・アンド・グローリーをも含めると10枚を超えるスタジオ・アルバムで活躍してきたザックだが、『アンブラッケンド』では近年演奏されてこなかったレア曲の数々も披露されている。

「『プライド・アンド・グローリー』(1994年)の「スウィート・ジーザス」や「ルージン・マイ・マインドみたいに、久しぶりにプレイする曲が多かった」と話す彼は、「アコースティック・アルバム『ブック・オブ・シャドウズ』(1996)からの曲も、半分忘れかけていた。「おっ、良い曲じゃないか。誰が書いたの?」なんて思ったりもしたよ。俺が書いた曲なのにな(笑)」

そんなレア・トラックに混じって、ブラック・レーベル・ソサイアティのライヴではおなじみの「スティルボーン」(『ザ・ブレスド・ヘルライド』(2003)収録)も演奏されている。だが、よりスローでムーディなアレンジが施された、“アンブラッケンド”ならではのバージョンに変貌を遂げている。

南軍旗をペイントしたギブソン“レベル”レスポール、“ヴァーティゴ”レスポール、SGダブル・ネック、SGとフライングVを合体させたエピフォンZVなど、ザックが弾くギターの数々も興味深く、多彩なトーンを堪能することが出来る。

ザックをバックアップするミュージシャン達も実力者揃いだ。ニック・カタニージは1997年以来、彼と行動を共にしてきた相棒ギタリストであり、ドリーム・シアターやブラック・カントリー・コミュニオンなどで知られる名キーボード奏者デレク・シェリニアンとも長い付き合いだ。

「デレクと知り合ったのは1990年代初め、俺がオジーのバンドに入って数年してからだった。アル・ディ・メオラやチック・コリアの話で盛り上がって、すぐ友達になったよ。彼のソロ・アルバムにも毎回参加しているし、家族ぐるみの友人だ。ブラック・レーベル・ファミリーの一員だよ。一緒にやれて嬉しい」

ライヴ本編はもちろんのこと、DVDとCDに収録されたボーナス映像/音源もまた必見必聴だ。DVDにはインタビュー映像、ビデオ・クリップなどと共に、2010年7月にザックがイギリスの刑務所で行った慰問ミニ・ライヴ&トーク・ショーも収録されている。

「俺は刑務所に縁があるんだ。オジーのバンドに入って最初のライヴ(1987年7月)が刑務所だった。あの時、俺はまだ仮採用だったから、もし不合格だったら、そのまま置き去りにされていただろうな」

一方、CDにはボーナス・トラックとして、ビル・ウィザース「エイント・ノー・サンシャイン」やレオン・ラッセル「ソング・フォー・ユー」などカバー曲を含むアコースティック・ナンバー6曲を聴くことが出来る。ザック曰く「大好きな曲だし、俺なりのバージョンをやってみたかった」そうだ。

2013年夏はメガデスやヘルイェーと共に北米<ジャイガンツアー>フェスティバル・ツアーに参加。秋にはブラック・レーベル・ソサイアティのニュー・アルバムに着手するなど、精力的に活動する予定となっている。

「2014年には日本でも“アンブラッケンド”ライヴをやりたい。ブラック・レーベル日本支部を訪れるのも久しぶりだからな。気合いを入れて、黒い血を流しながら、俺たちが戻ってくるのを待っていてくれ」

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